こうして話すのも、ほとんど日課みたいなもの。

お風呂上がりにベランダでジュースを飲む陽ちゃんに合わせて、私も顔を出す。今日は私の方が早かったけれど、こんな風に他愛のない話ができる時間はとても楽しくて、さっきまでの寂しかった気持ちも和らいだ。


「お前さー」

「なに?」

「俺とばっかりいたら、彼氏できねぇぞ」

「いいもん、別に」


私が好きなのは陽ちゃんなんだから、なんて言う勇気はまだないけれど、幼なじみというポジションは私だけのもの。それさえあれば、誰よりも彼の近くにいられるんだから。


「そろそろ兄離れしろよ」

「お兄ちゃんじゃないじゃん」

「似たようなもんだろ」

「全然違う! それに、私たちキスした仲じゃん!」


ムキになった私の言葉に、陽ちゃんは飲んでいたサイダーを噴き出しそうになった。


「……お前、それ誰にも言うなよ」

「私たちのファーストキスのこと?」

「誤解を生みそうな言い方はやめろ」

「本当のことでしょ?」


陽ちゃんは深いため息のあとで、「幼稚園の時の話なんてノーカンだって言ってるだろ」と聞き飽きた言葉を口にした。