(……いや。もしかしたら、男同士だからこそ岡原(アイツ)の気持ち分かったってこともあるのかもしれないなぁ)

 だからこそ、村川はこの同窓会の日に、わざわざ岡原にお節介を焼いたのではないだろうか――。

「……真樹、どした?」

 フォークを(くわ)えたままボーッと考え込んでいると、美雪に軽く肩を叩かれた。

「ううん、別に何でも。――あっ、コレ食べ終わったら、みんなのお皿とフォーク回収して、寿司桶と一緒に持っていくね!」

「あっ、じゃああたしが桶持ってくよ」

 ふと見れば、美雪を含む友人みんなの皿がほとんど空になっている。真樹が今食べているチーズケーキも、あと一口か二口くらいで食べ終えるはずだ。

「先に寿司桶持ってくからさ、あんたはそれ食べちゃってからお皿とフォークの方よろしく」

「ありがと、美雪。ゴメンね?」

 真樹は親友の厚意に甘え、残りのチーズケーキを平らげ始めた。
 本当はもう少しゆっくり味わいたいけれど……。だってこのケーキはただのチーズケーキじゃなくて、岡原の気持ちかもしれないから。

「……ふーっ、美味しかったぁ! ごちそうさまでした」

 みんなの紙皿とプラスチック製のフォークを回収し、真樹もステージの前のゴミ袋まで持って行った。
 ステージ上では何かの上映の準備だろうか、ロールスクリーンが引っぱり出されていたり、煌々(こうこう)とライトが点いたプロジェクターやノートパソコンの操作が行われていたりとバタバタ忙しそうだ。

『――えー、皆さんの昼食が済んだところで、ここからは中学時代を振り返るスライドショーを上映したいと思います。どこでも自分の見やすい場所に移動して観賞して下さいねー』

 バタバタが落ち着いたところで、またもや田渕くん登場。これから、同窓会ではド定番のスライド上映会が始まるらしい。
「好きな場所で見ていい」ということなので、さっきまでのグループからバラけて他の場所へ移動する子が続出する。