夕方の四時半。日は沈みかけていて、気温も下がってきた。
陣内先輩をはじめ、男性陣が慣れた調子で片づけを済ませる。
解散となり、みんな散り散りに去って行く。
私は友人になった女の子と連絡先を交換し、手を振って別れた。彼女とは、今度一緒にパンケーキを食べに行く約束をしたけれど、社交辞令かもしれない。まあ、どちらでもいいか。
「陣内さん、今日はありがとうございました。楽しかったです!」
道具を友人の車に積んでいた陣内先輩は、振り返って優しく笑ってくれる。
「それはよかった。ところで、これから僕の家で二次会しようと思うんだけど、片山さんもどう?」
「行きたいです!」
あまり考えずに返事をしてしまったけれど、私なんかが参加してしまっていいのだろうか……。しかも、先輩の家。
いや、でも陣内先輩から直々に誘われたわけだし。
なにより、先輩ともう少し一緒にいたいと思ってしまったのだ。
やっぱり理由をつけて帰ろうかな。迷ったけれど、結局何も決断できないまま、私は陣内先輩たちの後ろを歩いていた。
近くのコンビニでお酒とお菓子を購入し、先輩の家へ向かう。
合計六人。私と陣内先輩と小渕さんと、男性二人に女性一人。まだ名前をちゃんと覚えられていない。
陣内先輩の家に入るのは緊張した。彼女である小渕さんもいるとはいえ、私はなんとなく、いけないことをしているような気持になった。
小渕さんはとても優しい人で、私にも笑顔で話しかけてくれる。
彼女が私の気持ちに気づいているかはわからない。
もしかすると、気づいていながら、陣内先輩をとられるようなこともないだろうと思われているのかもしれない。それはおそらく正しい。
陣内先輩は、小渕さんのことが大好きだ。誰が見てもわかる。
先輩が小渕さんに向ける顔は、他の誰に向ける顔とも違うのだ。