「乃愛、可愛いから絶対雄馬くんもイチコロよ!」



「莉々香だって、星夜くんに絶対推しへの愛が強くていい子だって思われてるよ!」



「全く現実見ろよなぁ、お前ら」



私と乃愛の会話を、いきなり男子がいきなり遮ってきた。

こいつは同じクラスでネトゲ・オタクの向島 聡(むこうじま さとし)。


課金とかでいっつもお母さんに怒られてるくせに、私や乃愛の推し活に呆れたりしている。



「推しにときめくことは現実見てないっていうの、やめてくれますー?」



私は、向島に口を曲げてそう言った。
夢を見ることなんて誰だってするのに。

そっちこそ、課金なんかしてないでお金のこと考えたらと言いたい。



「だとしてもよ、推しもファンがわんさかいてお前らのこと見つけづらいだろ」




そんなことだってとっくに分かっている。
それをちゃんと理解しているからこそ、こうやって夢を見ていたいのに。



星夜くんと雄馬くんは、ツブヤイターでも、フォロワーは何十万にもいて私なんて他のファンに埋もれているよ。

だから、認知されるのが難しくても夢を見ることくらいは許してほしいよ。