お姉ちゃんが言うから、俺はめっちゃ勉強した。学年でもトップやった。中学もほぼ1位で、高校も上の方。
国立の大学に受かった時は、おかんはめっちゃ喜んでた。「頑張ったなぁ」と、受かったその日は唐揚げやった。

妹は「おめでとう」って、肩たたき券をくれた。

父親は、なんも言わんかったけど。







『凄いなぁ、おめでとう』

お姉ちゃんにも、電話でそれを伝えた。お姉ちゃんもめちゃくちゃ喜んでくれた。そんなお姉ちゃんはもう大学を卒業してた。



『なあ、拓海くん、また今日も来るん?』

「うん⋯あかん?」

『ええよ、待ってるな』




にっこりと笑ってるのが、電話越しでもわかる。


俺はずっとお姉ちゃんに恋をしとった。

俺の頭の中はずっとずっと、お姉ちゃんやった。


あの強いお姉ちゃんを見た日から、俺はずっとお姉ちゃんしか頭に無かってん。














そんなある日、お姉ちゃんが死んだ。


雨の日やった。


俺はあの日を死んでも忘れへん。