お姉ちゃんは肉まんとピザまんを半分こしてくれた。「お姉ちゃんバイトしてるから金持ちやで?」って、コーヒー牛乳も買ってくれた。
「ごめんなぁ、あのおっちゃんら悪いやつちゃうねん。いつもはええ人らやねんけどな、許したってな」
そう言って俺の頭をヨシヨシと撫でるお姉ちゃんは、高校生。
──俺はこん時から、お姉ちゃんを好きになった。
俺らを庇ってくれたお姉ちゃんやから。
お姉ちゃんは意外に近くに住んどった。お姉ちゃんとこに遊びに行く俺に、「家はあかんねん」と、俺と一緒に公園で喋ったりした。
「勉強しぃな、高校なったらもっとしとけば良かったって思うから」
「虐められてへん?またおっちゃんらに言われてへん?」
「またなんかあったら、お姉ちゃんに言いや?」
「いつでも助けたるからな」
にこにこと笑うお姉ちゃんは、ほんまに女神みたいやった。