「乳ちゃうんか」
「んならはよ飲ませぇ」
「俺ら親戚やからなぁ、遠慮せんでええで。ここで飲まし」
「ギャハハっ!」


俺の腕から妹を取ったおかんは、戸惑った顔を見せる。
ダメ元で親父を見れば、他人のフリをして酒を飲んでた。


もういい、帰ろう。
誰が死んだか分からん葬式か何回忌かなんかどうでもええわ、と。



おかんの服を掴もうとした時、




「―――ええ加減にせぇよッ!!!」





そんな怒鳴り声が、聞こえ⋯


この家から3件隣ぐらいまで、聞こえそうなその怒鳴り声に、泣きていた妹も、ぴたりと止まる。



黒ではなく、紺色の服を身にまとったその人は、「なぁおっちゃん」と、ドスドスと、ギャハハと笑っていたジジィ共の酒の席へと足を運ぶ。