俺がお姉ちゃんに初めてあったのは、多分、誰かの葬式か何回忌かってやつやったと思う。

みんな黒い服着とったし。

夜、そこの親戚中が集まってた。

そんな中、俺とおかんは端の方で座ってた。親戚中は俺ら2人の事は眼中に無いみたいに、あーやこーやって喋ってた。

なんで眼中に無いか。空気みたいに扱われるか。

それは俺とおかんが後から来た人間やから。


向こうでケラケラつまらん話ばっかしてる大勢の中の1人の男と、おかんが再婚したから。
なんかよー分からんけど、おかんは、親父の元嫁から、親父を奪ったらしい。


その元嫁っていうのが、親戚中に可愛がられた女やったみたいで。
親父を奪ったおかんは、親戚の中の村八分。
そんなおかんの連れ子の俺も、村八分。


タネを出したんは、あの男のくせに。
おかんが今にも迷惑ならんように、泣き出しそうな生まれたばっかの俺の妹を必死に抱っこしてあやしてんのに。




俺とおかんは、その親戚中に虐められとった。



やっと一人の親戚の女に目ェ向けられたと思ったら、「手伝いもしやんの、嫁のくせに」と蔑んだ目で見られ、おかんは「⋯すみません⋯」と謝っとった。


お前は、赤ちゃん抱いてるおかんが見えへんのかって俺が睨みつければ「蛙の子は蛙やな」と見下される。