「あんな? うちのお姉ちゃん、あのオンナのせいで死んでん。初盆の時も堂々と来てな?ほんまムカついたわァ」
くすくすくす、いつもの笑顔。
「うん」
「めっちゃ被害者ぶんねん、あの親子のせいやのに」
「そうなん」
「だからめっちゃ子供な、わたしに懐かせたってん、ほんまイヌみたいやった!」
「うん」
「あの子供が将来ええとこ働いて、金せびったろ、って思ってな」
「うん」
「いま、何してんかなぁ、どっか行ったわ、もう顔も覚えてない」
「そうなん」
ふふ、と、笑うお姉ちゃんは、いつもと分からへん。
俺、目の前におるよ?
お姉ちゃん。
俺の顔を、忘れてるお姉ちゃんは、それを楽しそうに話してくれた。