ライトアップの会場は昼にイワシを見ていた大きな水槽だった。
サメやイワシはまだ数匹、優雅に泳いでいる。
その中に、数十匹ほどのクラゲが漂う。
フワフワと能天気に、それでいて日々の喧騒を忘れさせてくれるように。
その姿が幻想的でとても涼しげだった。
まだ暑さが残っている九月の夜だったが、これを見ていたからか、それとも館内のクーラーが効きすぎていたからか、僕は少し寒くなった。
「カーディガン、着ていい?」
「あ、着て着て。外と違って少し寒いもんね」
結菜はそっと僕の手を離す。
「ありがとう」
気にかけてくれた結菜にお礼を言い、紫色のカーディガンを羽織って、結菜の手を再び握る。
上着を持ってきてよかった。
ライトアップされたクラゲは見ていても飽きずに、昼と違う一面を見せてくれた。
他の魚たちもクラゲにつられて、心なしかゆっくり泳いでいる。
「クラゲって結構いいね」
「そうだね! 神秘的できれいだし、私結構好きかも!」
「うんうん。それにしても、海っていいね」
「分かるよ、その気持ち。私は生まれ変わったらペンギンになりたい」
「僕もなりたいな。そして結菜と一緒に泳ぎたい」
自分でも結構恥ずかしいことを言っている自覚はある。
きっと、今の僕は顔が真っ赤に違いない。
でも、そんな恥ずかしさを忘れるくらい結菜といる時間が楽しかった。
それから、僕らは時が流れるままに泳ぐクラゲを見ていたが、さすがに少し飽きてきたのか、結菜が、
「蒼君、そろそろお土産買おっか!」
「自分土産だね」
「うんうん!」
結菜についていき、僕は先程行った土産店に向かった。
「んー、お土産何にしようかな。蒼君は何にするか決めた?」
僕は結菜へのサプライズ用と一応自分用に買っているため、買わなくてもいいのだけど、さすがに不自然だからなにかしら買うことにした。
ちょうどお金にもまだまだ余裕があったため、問題はない。
「とりあえず、クッキーとか買おうかな」
「クッキーいいよね! 美味しそうだし! あとは、蒼君、これとかどう?」
じゃーんと効果音が鳴りそうな雰囲気で、結菜はこちらにネックレスを付けて見せてきた。
結菜の胸元に小さなペンギンがキラリと光る。
可愛らしいし、結菜の今の服装とマッチしていて普通に似合うと思う。
「可愛いね。それに似合っているし」
「えへへ……。率直にくるとは思わなかったから恥ずかしいな。ありがとう!」
結菜はそれをカゴにいれて、また次の品物を見ていく。
僕は手持ちぶさたで結菜が聞いてきたら答える程度のことしかやっていなかったけど、結菜があるものを見つけて、テンションが上がった。
「蒼君、蒼君! 見て見て! カバーがあるよ!」
それは僕がいつ結菜にプレゼントを渡そうと考えていたときだ。
結菜が興奮した様子で僕を呼ぶからなにかと思って、カバーの意味も分からなかったからついていった。
すると、そこには、革で作られて、魚がプリントされているブックカバーがあった。
「おおっ! すごい!」
「でしょでしょ! 私もこれ見たときに蒼君絶対欲しがるかなって思ったの!」
僕は本を買ったときに付く紙のブックカバーしか持っていなかったから、これは嬉しい。
革製のブックカバーを使うことはあこがれだった。
「あとね、しおりもあるよ!」
結菜が指さすブックカバーの下の棚には、ブックマークが沢山置いてあった。
これも、本を買ったときに付く紙製のものではなく、プラスチック製の高級感があるものだ。
これにより、僕のテンションは今年一番の高さとなった。
「すごいね! 本当に来てよかった。結菜、本当にデートに付き合ってくれてありがとう」
結菜は普段の僕と違うテンションに少し困惑しながらも、
「なんだかこっちがメインになってない? ……まぁ、蒼君が喜んでくれているなら私も嬉しい」
「結菜はどれがいいと思う?」
僕と結菜はブックカバーから選ぶことにした。
「やっぱり、この紺色のブックカバーじゃない?」
結菜が選んだのは金色のペンギンがあるブックカバーだった。
確かにシンプルでクールな感じがしてかっこいいと思うが、僕は初めに結菜に見せてもらったブックカバーの方が好みだ。
でも、これはこれでいいものだし、またいつか来たときに買えばいい。
「僕は初めの方がいいと思うな」
「これ? カラフルでいいよね! 私もどっちか迷ってるんだよね」
でも、どちらもよくて迷ってしまう。
「じゃあ、せーので指さそう」
「うん、いいよー!」
「「せーの‼」」
僕らが指さしたのは、ペンギンがあるブックカバーだった。
結局、迷ったあげく、こっちの方がおしゃれだったから、これにした。
「次はしおりだね!」
しおりは、沢山あったから候補を決めてから選ぶことにした。
そして、選んだ三種類の中から決めることにした。
よくある長方形型のしおりにイルカ型のしおり、クラゲ型のしおりだ。
長方形型のしおりのには、沢山の動物がイラストされている。
「じゃあ、いくよ?」
「「せーの‼」」
僕と結菜が指さしたのは、イルカ型のしおりだった。
「やっぱりこれだよね」
「うん! クラゲもよかったけどやっぱりイルカが一番だったよ」
それから、僕らは会計を済ませて、水族館を出ることにした。
初デートは大成功と言えるだろう。
だが、まだ終わりじゃない。
最後、結菜にサプライズプレゼントを渡すことと甘い言葉をかけることがまだ残っている。
それがすることで初めて大成功と言えるのだ。
まだ気を抜いてはいけない。
結菜が最後の最後まで喜んでもらえるように、あとひとふんばりだ。
サメやイワシはまだ数匹、優雅に泳いでいる。
その中に、数十匹ほどのクラゲが漂う。
フワフワと能天気に、それでいて日々の喧騒を忘れさせてくれるように。
その姿が幻想的でとても涼しげだった。
まだ暑さが残っている九月の夜だったが、これを見ていたからか、それとも館内のクーラーが効きすぎていたからか、僕は少し寒くなった。
「カーディガン、着ていい?」
「あ、着て着て。外と違って少し寒いもんね」
結菜はそっと僕の手を離す。
「ありがとう」
気にかけてくれた結菜にお礼を言い、紫色のカーディガンを羽織って、結菜の手を再び握る。
上着を持ってきてよかった。
ライトアップされたクラゲは見ていても飽きずに、昼と違う一面を見せてくれた。
他の魚たちもクラゲにつられて、心なしかゆっくり泳いでいる。
「クラゲって結構いいね」
「そうだね! 神秘的できれいだし、私結構好きかも!」
「うんうん。それにしても、海っていいね」
「分かるよ、その気持ち。私は生まれ変わったらペンギンになりたい」
「僕もなりたいな。そして結菜と一緒に泳ぎたい」
自分でも結構恥ずかしいことを言っている自覚はある。
きっと、今の僕は顔が真っ赤に違いない。
でも、そんな恥ずかしさを忘れるくらい結菜といる時間が楽しかった。
それから、僕らは時が流れるままに泳ぐクラゲを見ていたが、さすがに少し飽きてきたのか、結菜が、
「蒼君、そろそろお土産買おっか!」
「自分土産だね」
「うんうん!」
結菜についていき、僕は先程行った土産店に向かった。
「んー、お土産何にしようかな。蒼君は何にするか決めた?」
僕は結菜へのサプライズ用と一応自分用に買っているため、買わなくてもいいのだけど、さすがに不自然だからなにかしら買うことにした。
ちょうどお金にもまだまだ余裕があったため、問題はない。
「とりあえず、クッキーとか買おうかな」
「クッキーいいよね! 美味しそうだし! あとは、蒼君、これとかどう?」
じゃーんと効果音が鳴りそうな雰囲気で、結菜はこちらにネックレスを付けて見せてきた。
結菜の胸元に小さなペンギンがキラリと光る。
可愛らしいし、結菜の今の服装とマッチしていて普通に似合うと思う。
「可愛いね。それに似合っているし」
「えへへ……。率直にくるとは思わなかったから恥ずかしいな。ありがとう!」
結菜はそれをカゴにいれて、また次の品物を見ていく。
僕は手持ちぶさたで結菜が聞いてきたら答える程度のことしかやっていなかったけど、結菜があるものを見つけて、テンションが上がった。
「蒼君、蒼君! 見て見て! カバーがあるよ!」
それは僕がいつ結菜にプレゼントを渡そうと考えていたときだ。
結菜が興奮した様子で僕を呼ぶからなにかと思って、カバーの意味も分からなかったからついていった。
すると、そこには、革で作られて、魚がプリントされているブックカバーがあった。
「おおっ! すごい!」
「でしょでしょ! 私もこれ見たときに蒼君絶対欲しがるかなって思ったの!」
僕は本を買ったときに付く紙のブックカバーしか持っていなかったから、これは嬉しい。
革製のブックカバーを使うことはあこがれだった。
「あとね、しおりもあるよ!」
結菜が指さすブックカバーの下の棚には、ブックマークが沢山置いてあった。
これも、本を買ったときに付く紙製のものではなく、プラスチック製の高級感があるものだ。
これにより、僕のテンションは今年一番の高さとなった。
「すごいね! 本当に来てよかった。結菜、本当にデートに付き合ってくれてありがとう」
結菜は普段の僕と違うテンションに少し困惑しながらも、
「なんだかこっちがメインになってない? ……まぁ、蒼君が喜んでくれているなら私も嬉しい」
「結菜はどれがいいと思う?」
僕と結菜はブックカバーから選ぶことにした。
「やっぱり、この紺色のブックカバーじゃない?」
結菜が選んだのは金色のペンギンがあるブックカバーだった。
確かにシンプルでクールな感じがしてかっこいいと思うが、僕は初めに結菜に見せてもらったブックカバーの方が好みだ。
でも、これはこれでいいものだし、またいつか来たときに買えばいい。
「僕は初めの方がいいと思うな」
「これ? カラフルでいいよね! 私もどっちか迷ってるんだよね」
でも、どちらもよくて迷ってしまう。
「じゃあ、せーので指さそう」
「うん、いいよー!」
「「せーの‼」」
僕らが指さしたのは、ペンギンがあるブックカバーだった。
結局、迷ったあげく、こっちの方がおしゃれだったから、これにした。
「次はしおりだね!」
しおりは、沢山あったから候補を決めてから選ぶことにした。
そして、選んだ三種類の中から決めることにした。
よくある長方形型のしおりにイルカ型のしおり、クラゲ型のしおりだ。
長方形型のしおりのには、沢山の動物がイラストされている。
「じゃあ、いくよ?」
「「せーの‼」」
僕と結菜が指さしたのは、イルカ型のしおりだった。
「やっぱりこれだよね」
「うん! クラゲもよかったけどやっぱりイルカが一番だったよ」
それから、僕らは会計を済ませて、水族館を出ることにした。
初デートは大成功と言えるだろう。
だが、まだ終わりじゃない。
最後、結菜にサプライズプレゼントを渡すことと甘い言葉をかけることがまだ残っている。
それがすることで初めて大成功と言えるのだ。
まだ気を抜いてはいけない。
結菜が最後の最後まで喜んでもらえるように、あとひとふんばりだ。