「ばいば~い!」
結菜がカワウソに手を振り、僕らは深海の生物コーナーに向かうことにした。
一本の動画を視聴したあと、実際にリュウグウノツカイやシーラカンスなどの深海魚を見る。
深海魚のイメージで、グロテスクな生物が多いが、それは深海で生き抜くための進化で必要な器官があるからだ。
たとえば、「ゴブリンシャーク」の異名で知られるミツクリザメという深海サメは前に大きく出た口の部分を普段は収納しているが、獲物を捕まえるときには飛び出して、その口で獲物を喰らうという。
そんな不思議な進化を遂げた深海魚に僕は興味があった。
絶滅したと言われていたシーラカンスは、深海にいたからそう思われていたのだろう。
それが、『生きた化石』として現代まで生き続けているのだから本当に海はただ神秘なものではなく、生き物のためのものだと思う。
「蒼君ってなんかこうしていると博士みたいだよね」
結菜はクスクスと笑いながら、こちらを見ていた。
そうとう僕は熱心に見ていたらしい。
「そんなの結菜だってペンギンへの愛がすごいでしょ」
「あ、愛とそれは違うもん! 蒼君は熱心に見すぎだよ!」
「結菜、その言い方なんか語弊があるからやめて?」
「蒼君がえっちなこと考えてる……」
ジト目で結菜は僕のことを見る。
えー……、なんで。
なぜか結菜の機嫌を損ねてしまったので僕は今日の本来の目的であるペンギン触れ合いコーナーに向かう。
「結菜、そろそろ15時だし、ペンギンの所に行こうか」
そう言うと、目をキラキラと輝かせて、
「うんっ! 行こう! 楽しみ!」
結菜がどれだけペンギンの事が好きなのか、触れ合いコーナーに向かっているときに説明された。
「──でね、ペンギンって南極みたいに冷たくて分厚い氷に覆われているところで生活していると思っている人が多いけど、ケープペンギンっていうペンギンは南アフリカとかの暖かい地域で生活してるんだよ!」
「知らなかったな。ペンギンって暖かい場所でも暮らせるんだ」
結菜はよくぞ言ってくれたと言わんばかりにうなずいて、
「そうそう。そういう子って普通のペンギンとは違って脚とかには羽が生えていないんだよ!」
このように、ペンギンの事を話すときすごく興奮して話す。
ペンギンに嫉妬してしまうくらい、結菜のペンギンへの愛が深いんだなと僕は思う。
「結菜は飼育員さんになれそうだね」
「いきなりだね。それなら、蒼君は図書館司書さんだね! お互い、夢を叶えれるといいね!」
「まだ、夢って決まったわけじゃないけど」
結菜のぶっ飛んだ言葉に苦笑してしまう。
けど、図書館司書か。
悪くないのかもしれない。
結菜と出会う前なら、自分が将来のことなんて真面目に考えた事もなかった。
ただ、のんびりと生きていつの間にか死んでいる。
そんな未来を見ていたから。
でも、のんびりと生きていつの間にか死んでいるのは、もう今の僕にはつまらない。
どうせなら、結菜と沢山の思い出を作って笑って死にたい。
「そういや、結菜は高校卒業してから進路はどうするの?」
「んー、大学に行くつもりかな。飼育員さんになれなくても動物に関わる仕事をしたいからね。蒼君は?」
「そっか。別にひとつにこだわらなくてもいいんだ。僕も大学に行く予定。図書館司書、目指してみようかな」
「いいんじゃない? 今の蒼君にピッタリの仕事だと思うよ!」
僕にピッタリの天職。
その言葉が当てはまるだろう。
図書館司書になろうかな。
結菜といれば、きっとその夢も叶うのだろう。
結菜がカワウソに手を振り、僕らは深海の生物コーナーに向かうことにした。
一本の動画を視聴したあと、実際にリュウグウノツカイやシーラカンスなどの深海魚を見る。
深海魚のイメージで、グロテスクな生物が多いが、それは深海で生き抜くための進化で必要な器官があるからだ。
たとえば、「ゴブリンシャーク」の異名で知られるミツクリザメという深海サメは前に大きく出た口の部分を普段は収納しているが、獲物を捕まえるときには飛び出して、その口で獲物を喰らうという。
そんな不思議な進化を遂げた深海魚に僕は興味があった。
絶滅したと言われていたシーラカンスは、深海にいたからそう思われていたのだろう。
それが、『生きた化石』として現代まで生き続けているのだから本当に海はただ神秘なものではなく、生き物のためのものだと思う。
「蒼君ってなんかこうしていると博士みたいだよね」
結菜はクスクスと笑いながら、こちらを見ていた。
そうとう僕は熱心に見ていたらしい。
「そんなの結菜だってペンギンへの愛がすごいでしょ」
「あ、愛とそれは違うもん! 蒼君は熱心に見すぎだよ!」
「結菜、その言い方なんか語弊があるからやめて?」
「蒼君がえっちなこと考えてる……」
ジト目で結菜は僕のことを見る。
えー……、なんで。
なぜか結菜の機嫌を損ねてしまったので僕は今日の本来の目的であるペンギン触れ合いコーナーに向かう。
「結菜、そろそろ15時だし、ペンギンの所に行こうか」
そう言うと、目をキラキラと輝かせて、
「うんっ! 行こう! 楽しみ!」
結菜がどれだけペンギンの事が好きなのか、触れ合いコーナーに向かっているときに説明された。
「──でね、ペンギンって南極みたいに冷たくて分厚い氷に覆われているところで生活していると思っている人が多いけど、ケープペンギンっていうペンギンは南アフリカとかの暖かい地域で生活してるんだよ!」
「知らなかったな。ペンギンって暖かい場所でも暮らせるんだ」
結菜はよくぞ言ってくれたと言わんばかりにうなずいて、
「そうそう。そういう子って普通のペンギンとは違って脚とかには羽が生えていないんだよ!」
このように、ペンギンの事を話すときすごく興奮して話す。
ペンギンに嫉妬してしまうくらい、結菜のペンギンへの愛が深いんだなと僕は思う。
「結菜は飼育員さんになれそうだね」
「いきなりだね。それなら、蒼君は図書館司書さんだね! お互い、夢を叶えれるといいね!」
「まだ、夢って決まったわけじゃないけど」
結菜のぶっ飛んだ言葉に苦笑してしまう。
けど、図書館司書か。
悪くないのかもしれない。
結菜と出会う前なら、自分が将来のことなんて真面目に考えた事もなかった。
ただ、のんびりと生きていつの間にか死んでいる。
そんな未来を見ていたから。
でも、のんびりと生きていつの間にか死んでいるのは、もう今の僕にはつまらない。
どうせなら、結菜と沢山の思い出を作って笑って死にたい。
「そういや、結菜は高校卒業してから進路はどうするの?」
「んー、大学に行くつもりかな。飼育員さんになれなくても動物に関わる仕事をしたいからね。蒼君は?」
「そっか。別にひとつにこだわらなくてもいいんだ。僕も大学に行く予定。図書館司書、目指してみようかな」
「いいんじゃない? 今の蒼君にピッタリの仕事だと思うよ!」
僕にピッタリの天職。
その言葉が当てはまるだろう。
図書館司書になろうかな。
結菜といれば、きっとその夢も叶うのだろう。