「結菜っ! おはよう!」
僕の挨拶に最上級の可愛さがある笑顔で、
「蒼君、おはようっ!」
と返してくれた。
彼女のことを見ると、白のシャツとデニムの短パンに薄い黄色のシアービッグシャツという初めて、結菜の私服を見たときのようなボーイッシュ系の服を着ている。
「あれ? 蒼君の服装、普段と違う?」
「そりぁ、デートだからね。普段よりカッコいい服着てるよ」
「そっか……。うん、デートだね。私たちこれからデートするんだね」
「そうだよ。そして、エスコート係は僕。ん」
僕はそう言って、結菜に手を伸ばす。
だけど、それは空を切り、ニンマリとわざとらしく口角をあげて彼女は、
「なぁに~? その手? 言ってくれなきゃ分かんないな~」
と挑発的な態度で言った。
僕から手を繋ぐのも恥ずかしいんだよ。
「エスコートぉ、してくれるなら、これくらいで・き・る、よね?」
どうやら、僕が『手を繋ごう』と言うまでは繋がないようだ。
優しく見えてこうちょっぴりイジワルな性格があるから、そのギャップに萌えてしまう。
手を振ってみても、結菜はニンマリしながら、笑うだけ。
こうなったら、恥を惜しんで言おう。
「……手、っなごう……?」
「……聞こえなーい!」
耳をこちらに向けて、もう一度と言ってと言いたげな顔で、彼女はにやけていた。
こうなったら、もうヤケクソだ。
「手、繋ごう。結菜」
僕が緊張でロボットのようにガチガチになりながら言うと、彼女は、
「よく言えましたー」
と言って、子供を褒めるように僕の頭を撫でる。
低い目線から手を伸ばされるのは新鮮だ。
「も、もう。髪に今、整髪料つけているから触らないで」
「ふふっ、蒼君の髪ごわごわー!」
子犬を愛でるように僕の頭を撫で続ける結菜。
小さな手が心地よかったが、さすがにこっちは今日のために色々と準備をしてきた。
これ以上自分のコンディションを崩されるわけにもいかない。
頭を撫でる結菜をとめて、今度こそ彼女の手を握って、僕らは水族館へと足を進める。
「なんか、この辺りっていいよね。空気が美味しいっていうか」
「そうかな?」
結菜の家付近に一度も行った事がないから分からないが、きっと結菜の家はかなり都会にあるのだろう。
僕が住んでいる地域は、よく言うと静かで落ち着く場所。悪く言うとシンとしていて暗い場所だ。
だから、新黃駅付近が都会に見えるし、中学の頃、来るのに多少、憧れていた。
「あっ、本屋! 蒼君! 本屋があるよ!」
結菜が指さすのは、以前皆でファミレスに行った時に見つけ、新刊を買った本屋だった。
ここ最近、僕の行きつけの本屋になっている。
「そこよく行ってるよ。純文学がメインだから欲しい本が手に入りやすいから僕はオススメ」
「そういえば、こないだもここで本買っていたもんね」
「そうだね」
余命一年の少女の物語を買ったときのことを言っているのだろう。
あの本は本当に感動した。
とことこと二人でこのラーメン店がいいとか、穏やかな空気が溢れるカフェを見つけたり、僕ひとりでは決して見向きもしない場所を見つけながら、水族館まで歩いた。
水族館内は、薄暗く、どこか神秘的だった。
ぷかぷかと能天気に漂うクラゲたちが来場者を迎えていた。
クラゲは青白い色をしているイメージがあったが、赤っぽい色をしているのもいて、少しイメージが変わった。
それから、とことこ歩いていると、『神秘の進化』と書かれたコーナーに着く。
35億年前から、現代までの生物の進化を説明する所で、メガロドンと呼ばれる古代のサメの歯の展示やイルカの祖先であるイクチオサウルスと呼ばれる魚竜の復元模型を展示しており、あまり馴染みのない生物に関心を持つ。
今は理科は科学分野を取っているけれど、来年は生物をやってみるのもいいかもしれない。
「蒼君! 見てみて! ガブッ~! って噛まれそうだね!」
結菜はメガロドンの復元剥製に興味津々だった。
どこかのサメ映画で見たことのある大きくて狂暴な顔がこちらを睨み付けている。
ほーうとまるで研究者のように真剣に見ていると思えば、エラスモサウルスという首長竜の復元模型を見て、はしゃいだり。
「ねーねー、蒼君。このエラスモサウルスってプレシオサウルスとも呼ばれていたらしいよ。姿が似ていたんだって。そういえば、何となくだけどネッシーに似てるね!」
「結菜、ネッシー知ってるんだ」
「知ってるよ! ゆーえむえー! それにネス湖!」
驚いた。
結菜がUMAやネス湖を知っているとは思わなかった。
あんまり、未確認生物とかそういうのには興味がないと思っていたから。
僕の挨拶に最上級の可愛さがある笑顔で、
「蒼君、おはようっ!」
と返してくれた。
彼女のことを見ると、白のシャツとデニムの短パンに薄い黄色のシアービッグシャツという初めて、結菜の私服を見たときのようなボーイッシュ系の服を着ている。
「あれ? 蒼君の服装、普段と違う?」
「そりぁ、デートだからね。普段よりカッコいい服着てるよ」
「そっか……。うん、デートだね。私たちこれからデートするんだね」
「そうだよ。そして、エスコート係は僕。ん」
僕はそう言って、結菜に手を伸ばす。
だけど、それは空を切り、ニンマリとわざとらしく口角をあげて彼女は、
「なぁに~? その手? 言ってくれなきゃ分かんないな~」
と挑発的な態度で言った。
僕から手を繋ぐのも恥ずかしいんだよ。
「エスコートぉ、してくれるなら、これくらいで・き・る、よね?」
どうやら、僕が『手を繋ごう』と言うまでは繋がないようだ。
優しく見えてこうちょっぴりイジワルな性格があるから、そのギャップに萌えてしまう。
手を振ってみても、結菜はニンマリしながら、笑うだけ。
こうなったら、恥を惜しんで言おう。
「……手、っなごう……?」
「……聞こえなーい!」
耳をこちらに向けて、もう一度と言ってと言いたげな顔で、彼女はにやけていた。
こうなったら、もうヤケクソだ。
「手、繋ごう。結菜」
僕が緊張でロボットのようにガチガチになりながら言うと、彼女は、
「よく言えましたー」
と言って、子供を褒めるように僕の頭を撫でる。
低い目線から手を伸ばされるのは新鮮だ。
「も、もう。髪に今、整髪料つけているから触らないで」
「ふふっ、蒼君の髪ごわごわー!」
子犬を愛でるように僕の頭を撫で続ける結菜。
小さな手が心地よかったが、さすがにこっちは今日のために色々と準備をしてきた。
これ以上自分のコンディションを崩されるわけにもいかない。
頭を撫でる結菜をとめて、今度こそ彼女の手を握って、僕らは水族館へと足を進める。
「なんか、この辺りっていいよね。空気が美味しいっていうか」
「そうかな?」
結菜の家付近に一度も行った事がないから分からないが、きっと結菜の家はかなり都会にあるのだろう。
僕が住んでいる地域は、よく言うと静かで落ち着く場所。悪く言うとシンとしていて暗い場所だ。
だから、新黃駅付近が都会に見えるし、中学の頃、来るのに多少、憧れていた。
「あっ、本屋! 蒼君! 本屋があるよ!」
結菜が指さすのは、以前皆でファミレスに行った時に見つけ、新刊を買った本屋だった。
ここ最近、僕の行きつけの本屋になっている。
「そこよく行ってるよ。純文学がメインだから欲しい本が手に入りやすいから僕はオススメ」
「そういえば、こないだもここで本買っていたもんね」
「そうだね」
余命一年の少女の物語を買ったときのことを言っているのだろう。
あの本は本当に感動した。
とことこと二人でこのラーメン店がいいとか、穏やかな空気が溢れるカフェを見つけたり、僕ひとりでは決して見向きもしない場所を見つけながら、水族館まで歩いた。
水族館内は、薄暗く、どこか神秘的だった。
ぷかぷかと能天気に漂うクラゲたちが来場者を迎えていた。
クラゲは青白い色をしているイメージがあったが、赤っぽい色をしているのもいて、少しイメージが変わった。
それから、とことこ歩いていると、『神秘の進化』と書かれたコーナーに着く。
35億年前から、現代までの生物の進化を説明する所で、メガロドンと呼ばれる古代のサメの歯の展示やイルカの祖先であるイクチオサウルスと呼ばれる魚竜の復元模型を展示しており、あまり馴染みのない生物に関心を持つ。
今は理科は科学分野を取っているけれど、来年は生物をやってみるのもいいかもしれない。
「蒼君! 見てみて! ガブッ~! って噛まれそうだね!」
結菜はメガロドンの復元剥製に興味津々だった。
どこかのサメ映画で見たことのある大きくて狂暴な顔がこちらを睨み付けている。
ほーうとまるで研究者のように真剣に見ていると思えば、エラスモサウルスという首長竜の復元模型を見て、はしゃいだり。
「ねーねー、蒼君。このエラスモサウルスってプレシオサウルスとも呼ばれていたらしいよ。姿が似ていたんだって。そういえば、何となくだけどネッシーに似てるね!」
「結菜、ネッシー知ってるんだ」
「知ってるよ! ゆーえむえー! それにネス湖!」
驚いた。
結菜がUMAやネス湖を知っているとは思わなかった。
あんまり、未確認生物とかそういうのには興味がないと思っていたから。