「ただいま」

 家に帰ると、母さんは居らず、代わりに東京で一人暮らしをしている姉がいた。

「おかえり。蒼、久しぶりね。元気にしてた?」

「アカ姉ただいま。久しぶり。母さんは?」

 アカ姉こと不知(ふち)(あかね)

 僕の姉で今は就活生だ。

 たまにフラッと帰ってきてはなにかとお土産をくれる。

「まだ帰ってきてない。手洗ってからそれ食べな。お土産。デパ地下で買ったシュークリームだけど」

 デパ地下で買ったものでもシュークリームは美味しいのでいただく。

 洗面所で手洗いうがいを済ませ、それからアカ姉の手招きでリビングへと向かう。

 ダイニングテーブルには、有名な洋菓子が有名な店の箱が置いてあり、その中に5個、両手ほどの大きさのシュークリームが入っている。

 さっそく、食べる。

 ザクザクとしたパイ生地に入っているクリームの甘味が牛乳を欲する。

 半分食べたシュークリームをお皿に乗せて、冷蔵庫から牛乳を取りだし、グラスに注ぐ。

 そして、ダイニングテーブルに運び、ゆっくり堪能する。

 結局、シュークリームを2個食べて、僕はそれから夕飯を食べた。

 そんなに食べて太らないのかと思う人もいるだろう。

 僕は小柄な割には結構食べる。

 朝ご飯を毎日食べてから登校しても、3時間目が始まる11時頃には空腹を感じ始めるくらいだ。

 今日の夕飯は、日本人らしい鮭の切り身に少しのサラダに味噌汁とご飯。

 普通に美味しかった。

 夕飯を食べ終えた後は風呂に入る。

 僕はヒノキの匂いがする粉末状の入浴剤を湯船に入れて、それが溶けきるまでにシャンプー、リンス、ボティソープで一通り洗う。

 これは個人差もあるけれど、僕は湯船に浸かるときはバスルームの照明を消している。

 さすがに真っ暗では危ないので防水の取り付けれるライトをつけて入浴。

 モクモクと湯気がバスルームを覆う。

 入浴剤のヒノキの香りが心地よい。

 肩まで浸かると今日1日の疲れが湯船に染み渡る。

 少しため息をついて、今日も1日お疲れさまと自分自身に心の中で言った。