デートまでの三日間は本当にすぐだった。

 結菜と僕は一緒に登校し、図書室で読書をしてから電車に乗って帰宅する。

 付き合う前と変わらない生活だったが、その時間には甘い空気が流れて本当に幸せだった。

 たった数日で僕らは手を握ることは当たり前になり、登校中も下校中の電車のなかでもずっと手を握っていた。

 結菜はずっとデートを楽しみだと言っていた。

 僕自身もすごく楽しみだし、結菜との仲をこれ以上に深めればいいなと思っている。

 そして、昨夜。

 僕と結菜、長瀬と坂本さんでファミレスに来ていた。

 輝はバイト、神田さんは部活動があるため、参加できなかったのだ。

 席に座るやいなや、坂本さんから告白の一部始終を聞かれた。

「──で、書き終えたあとに結菜がポロっと口にして、それで付き合った」

 坂本さんは、いつもの少しダルそうな態度はどこやら、目をキラキラと輝かせて僕らの話を聞いていた。

「マジか……。すっごい憧れるシチュエーションなんやけど。ええなぁ。それにしても、不知あんたようコクったな」

「そうなんだっ! まぁ、私たちの思い出の場所だからね! 本当に嬉しかったよ」

「なんか、照れるね。明日は創立記念日かぁ。早いなぁ」

「アオイちゃん、デート頑張って」

「うん。長瀬がチケットくれなかったらどこにしていたんだろうね」

 本当に彼女には感謝をしてもしきれない。

「図書館巡りとかしてそうだねっ!」

「あー、分かる。不知が『この本は~』って説明し出しそう」

「いやいやしないしない。案外動物園とかに行ってそう。結菜がカワウソを見てはしゃいで──」

「も、もうっ! いいから! 恥ずかしいよぅ……」

「お返しだね」

「ふふっ」

 長瀬が久しぶりに笑った。

「ユナちゃんとアオイちゃんを見ていると付き合った頃を思い出す」

 そういう長瀬の顔には笑みが溢れていた。

「二人ともノロケかよー! あたしを置いていくな~!」

「「ノロケ」」

「じゃないよ」「じゃないもん!」

「うわ、息ピッタリ。バカップルだ~!」

「ちがうよ」「ちがうもん!」

「ほらまたぁー!」

「ビックリするほど息ピッタリ。うらやましい」

 僕らは息が合うことがおかしくて面白くて笑い合う。

 大好きな結菜と結ばれた事をここで再認識したのだった。