「じゃあなー!」

「テスト頑張って」

「うん。また」

 あれから、数十分後、僕らは会計を済ませ、暗い夜道を歩いて、もうすぐ家に着くところだ。

 二人は、イチャイチャモードに入ったらしく、邪魔しちゃ悪いかなと思って、コンビニに寄ると嘘をついて、他の道から帰った。

 家に着くと、明かりがついていた。

「ただいま」

 帰っている家族の誰かにいうと、女性の声が返ってきた。

 アカ姉か母さんだ。

 リビングに行くと、母さんが食事の用意をしていた。

「お帰り蒼。ライン見たからあんたの分のご飯は無いから。さっさと風呂入って、寝るか勉強しな」

「あー、うん」

 別に親との仲は悪くない。

 両親は僕に期待をしていないだけだ。

 それだけを返事し、僕は風呂に入った。

 少しぬるめのお湯に蜜柑(みかん)の香りが漂う。

 明日、頑張らないと。

 試験の意気込みを胸に僕は自室に戻って、最後の追い込みを開始した。