「ふー! あー、カラオケ楽しかったね! また行こうね!」

「そうだね」

「女子会とか次はせえへん?」

「いいね! 桜ちゃん! あっ、そうだ」

 飯島さんは長瀬に駆け寄り、

「メイメイ、ライン交換しない?」

「うん。私もユナちゃんと交換したい」

 やったとわいわいしながら、ラインのアカウントを交換する長瀬たち。

 少し戸惑っている長瀬だが、口元は微妙に緩んでいる。

 きっと、こうして女の子の輪に入って話せていることが嬉しいのだろう。

 長瀬と交換を終えた飯島さんは、こちらに来て、

「不知君、ライン交換しよう?」

「うん。はい、これ」

 僕は、飯島さんにスマホを見せる。

 何気なく渡したが、やり方があんまり分からなかったりしている。

「不知君のスマホカバーオシャレだね。デニム素材かぁ……」

 僕はスマホを基本触らないため、交換を飯島さんに任している。

 別に見られたくない物なんてないし、そもそも飯島さんなら余計なことはしないだろう。

「はい、不知君」

「ありがとう」

 スマホを返される。
 画面を見ると変化があった。

 ホーム画面には【友達】の欄に家族以外に二人──輝と長瀬──しかいなかったが、それが六人になっていた。

 そこには、【ゆな(*´ω`*)】や【さくら】や【hina】とかかれて、プリクラでとったであろう写真やペンギンの写真があった。

「あっ、坂本さんや神田さんのまで。ありがとう、飯島さん」

「ううん。どういたしまして。あった方がいいかなって思って勝手にだけど追加しておいたよ。もう私たち友達だからね!」

 友達。

 飯島さんから発せられたその言葉に胸が熱くなる。

 そっか。

 友達か。

 恋心は友達という言葉を嫌うらしい。

 特別な関係でないと済まされないと言わんばかりに胸が痛くなる。

 飯島さん、もう、否定するのは無理だよ。


 君が好きになってしまった──


「……どうしたの? あっ、まさか、陽菜ちゃんや桜ちゃんのライン追加したのまずかった……?」

「ううん。考え事していただけ」

「そう? ならいいけど」

 そういって、飯島さんは坂本さんたちの所へ行ってしまう。

 あれ……。『大丈夫?』って聞かれると思っていたのに、それがなかった。

 もしかして、愛想を尽かされたのか……?

 気がつかないうちに、なにか不用意な事を言ってしまっていたのか?

 僕はそんな不安を抱えながら、次の目的地である前回も行ったファミレスへ足を運んだ。