「飲み物何が欲しいー?」
カラオケ店には、神田さんが予約をしていたのでスムーズに入ることができた。
飯島さんは、コーラとブドウジュースを混ぜた得体の知れない色の飲み物を作っていた。
飲み物を混ぜて飲むのはせいぜい、小学生で終わりだと思っていたから正直、少し引いた。
飯島さんは、ブドウコーラ(仮)を片手にソフトクリームを製造していた。
先に部屋に向かった神田さんと坂本さんが食べるらしく、先に行っててと飯島さんも言っていた。
お店で見るような丁寧に巻かれた白い巻物が三個出来上がる。
「不知くんもソフトクリーム食べる?」
「いや、僕はいいよ」
飯島さんは、僕にソフトクリームを勧めてきたけれど、断った。
だって、
「ウーロン茶にソフトクリームはお腹がキツすぎるから……」
確かにそれもそうだねと飯島さんは笑いながら、言う。
「ユナちゃん、ソフトクリームひとつ持とうか」
ここに来てまっ先にメロンソーダを入れて、その上にソフトクリームを乗せ、フロートを作っていた長瀬は飯島さんに自分も持とうかと聞く。
「メイメイ大丈夫だよっ! ありがとう」
「そう。なら、先に行っとく。ヒカル、行こう」
長瀬は輝と幸せオーラをなぜか撒き散らしながら、部屋に向かった。
お膳には、ブドウコーラ(仮)と三個のソフトクリームが乗っている。
しかし、ブドウコーラ(仮)は、飯島さんのプルプルとした動作によって大きく揺らめいていて、下手すればこぼれそうだった。
「飯島さん、大丈夫? すごく不安定な感じがするんだけど」
「だ、大丈夫だよ……」
強がっているが、その足は何かの拍子でつまずいてしまえば折れてしまうと感じさせるほど華奢だった。
「僕、ジュース持つよ」
ジュースを持つべく、お膳に手を伸ばすと、飯島さんと普通に接することが出来ていることに気がつく。
それだけでなく、飯島さんから漂う甘い匂いに懐かしさというか好きな匂いを感じる。
この柑橘類の香りはアカ姉が高校生の時に彼氏に貰ってよくつけていた香水の匂いと酷似していた。
「この、匂い好きかも……」
「えっ!? ど、どうしたの? 私なんか変な匂いする?!」
「いや、アカ姉……姉がつけていた香水の匂いに似てるなって思って」
「不知くん、姉弟いたんだ! 一人っ子だと思っていたよー!」
「よく言われる」
両親は、夜まで仕事。姉は部活動やバイト、サークル活動に忙しかったため、小、中学と一人で過ごすことが多かった。
「そうなんだね。意外だったよ」
あっ、可愛い。
飯島さんの嘘のない笑顔に胸がドキッとした。
こうして、普通に接することが出来ても、恋心は収まってくれない。
むしろ、この時間を楽しみたいと僕の理性を壊そうとしてくる。
「そういえば、不知くん、夏休みの間に彼女作れなかったね」
「あぁ、あったね。そんなこと」
すっかり忘れていた話だった。
それを提案した本人を好きになったとは何があっても言える気がしない。
僕らが部屋に着いた頃、輝が採点の設定やマイクチェックをやっていた。
ビートボックスが普通に上手で、僕と飯島さんは同時に笑ってしまう。
「誰から歌うー?」
飯島さんの声で、長瀬以外の全員が僕を見た。
えぇ……。
あんまり、目立つのは好きじゃない。
でも、この時間を楽しみたいし、飯島さんにカッコいい所を見せたいとも思っている。
……あれ?
ここで、ふと、僕は思った。
なんで、飯島さんが僕に友達として好意を寄せているという前提で話を進めているのだろう。
本当に恋心の扱いは、小説で描かれる心情描写よりも難しく、切ないな。
カラオケ店には、神田さんが予約をしていたのでスムーズに入ることができた。
飯島さんは、コーラとブドウジュースを混ぜた得体の知れない色の飲み物を作っていた。
飲み物を混ぜて飲むのはせいぜい、小学生で終わりだと思っていたから正直、少し引いた。
飯島さんは、ブドウコーラ(仮)を片手にソフトクリームを製造していた。
先に部屋に向かった神田さんと坂本さんが食べるらしく、先に行っててと飯島さんも言っていた。
お店で見るような丁寧に巻かれた白い巻物が三個出来上がる。
「不知くんもソフトクリーム食べる?」
「いや、僕はいいよ」
飯島さんは、僕にソフトクリームを勧めてきたけれど、断った。
だって、
「ウーロン茶にソフトクリームはお腹がキツすぎるから……」
確かにそれもそうだねと飯島さんは笑いながら、言う。
「ユナちゃん、ソフトクリームひとつ持とうか」
ここに来てまっ先にメロンソーダを入れて、その上にソフトクリームを乗せ、フロートを作っていた長瀬は飯島さんに自分も持とうかと聞く。
「メイメイ大丈夫だよっ! ありがとう」
「そう。なら、先に行っとく。ヒカル、行こう」
長瀬は輝と幸せオーラをなぜか撒き散らしながら、部屋に向かった。
お膳には、ブドウコーラ(仮)と三個のソフトクリームが乗っている。
しかし、ブドウコーラ(仮)は、飯島さんのプルプルとした動作によって大きく揺らめいていて、下手すればこぼれそうだった。
「飯島さん、大丈夫? すごく不安定な感じがするんだけど」
「だ、大丈夫だよ……」
強がっているが、その足は何かの拍子でつまずいてしまえば折れてしまうと感じさせるほど華奢だった。
「僕、ジュース持つよ」
ジュースを持つべく、お膳に手を伸ばすと、飯島さんと普通に接することが出来ていることに気がつく。
それだけでなく、飯島さんから漂う甘い匂いに懐かしさというか好きな匂いを感じる。
この柑橘類の香りはアカ姉が高校生の時に彼氏に貰ってよくつけていた香水の匂いと酷似していた。
「この、匂い好きかも……」
「えっ!? ど、どうしたの? 私なんか変な匂いする?!」
「いや、アカ姉……姉がつけていた香水の匂いに似てるなって思って」
「不知くん、姉弟いたんだ! 一人っ子だと思っていたよー!」
「よく言われる」
両親は、夜まで仕事。姉は部活動やバイト、サークル活動に忙しかったため、小、中学と一人で過ごすことが多かった。
「そうなんだね。意外だったよ」
あっ、可愛い。
飯島さんの嘘のない笑顔に胸がドキッとした。
こうして、普通に接することが出来ても、恋心は収まってくれない。
むしろ、この時間を楽しみたいと僕の理性を壊そうとしてくる。
「そういえば、不知くん、夏休みの間に彼女作れなかったね」
「あぁ、あったね。そんなこと」
すっかり忘れていた話だった。
それを提案した本人を好きになったとは何があっても言える気がしない。
僕らが部屋に着いた頃、輝が採点の設定やマイクチェックをやっていた。
ビートボックスが普通に上手で、僕と飯島さんは同時に笑ってしまう。
「誰から歌うー?」
飯島さんの声で、長瀬以外の全員が僕を見た。
えぇ……。
あんまり、目立つのは好きじゃない。
でも、この時間を楽しみたいし、飯島さんにカッコいい所を見せたいとも思っている。
……あれ?
ここで、ふと、僕は思った。
なんで、飯島さんが僕に友達として好意を寄せているという前提で話を進めているのだろう。
本当に恋心の扱いは、小説で描かれる心情描写よりも難しく、切ないな。