ペンギンのような君に恋をしてしまった僕

「この服とかどーよ!」

 試着室からでてきた輝は、ハワイ帰りのチャラい人だとツッコミたくなるような格好だった。

 黒の中折れハットに青ロングシャツそれにハーフパンツ。

 うん、どう見てもハワイ帰りのチャラい人にしか見えない。

「ださい」

「命は率直過ぎじゃない?!」

「輝にそういうハワイアンな格好は似合わないと思う。それよりもこっちのほうがいいかも」

 僕が差し出したのは、黒のTシャツにデニムのハーフパンツだ。

「えっ……。おいおい、高校生に短パンはダサくねぇ?」

「なんかのサイトで膝だしこそがおしゃれの第一歩みたいなこと書いていた気がするんだけど」

「えー……。とりあえず、着てみるわ」

 そんなに落ち込まなくても……。

 というか輝って喜怒哀楽の振れ幅結構大きいんだ。

「どうだ?」

「かっこいい」

「ピアスつけたら、完全不良だね」

「誰が不良じゃゴラ」

「ごめんて」

「まぁ、命の好みだったらいいけどさ」

 輝はそういって、試着室のカーテンを閉めた。

 そして、元の服に着替えて、これを買うと言い出したので、

「僕が支払うよ」

「いいのか? じゃあついでに昼メシも……」

「それは、払うとは言ってない」

「そんなぁ……。ケチじゃねぇか」

 危ない危ない。

 昼ご飯まで奢るハメになりかけた。

 僕が会計を済ませると、輝は目を輝かせて、

「あざっす!」

 と言った。

 調子のいいやつだ。

「お昼、何にする?」

「なんでも」

「まだ決まってねぇ」

「じゃあ、マクドナルドでいい?」

「蒼が意見を言うなんて珍しいな」

「そう?」

「そう」

 僕ってそんなに普段意見を言わないのか。

 マクドナルドまで、三人で雑談をしながら、歩く。

「蒼、そういや学年何位だった?」

「16位」

「たっか……。命は?」

「3位」

「お前ら、マジでどうなってんだ……」

 どうもこうも輝が勉強していないだけだが。

 それを発するのを止めて、

「勉強会、しようか。夏休み後のテストの時にさ。もちろん、飯島さんや坂本さん、神田さんも誘って」

 誰かを何かに誘う。

 僕は初めてそれをした。

「そうだな。頼む」

「ヒカル、私も教える。これは彼女の特権……うぅ……」

 長瀬は長瀬で、照れながらもこの提案に賛成らしい。

「メシ、何にしよっかなー」

 未来の約束に妄想が広がるが、とりあえず、今は目の前のことを。

 でも、夏休みが明けた翌日にあるテストはきっと僕も輝も長瀬も。

 飯島さんも神田さんも坂本さんも。

 皆点数が高いことを期待しよう。