「んっー! 疲れた。私飲み物買ってくるね」

「いってらっしゃい」

 飯島さんを見送ってから、僕も一息つく。

 手元にあるペットボトルのお茶を飲む。

 喉の奥に冷たい飲料が流れる。

 この感覚が心地良い。

 その後、僕はモクモクと問題を解いていたのだけど、もう集中力が長く続いてくれそうになかったから、僕は小説を読んでいた。

 異世界転生小説の『蜜柑(みかん)転生』という作品だ。

「ただいまっ!」

 プロローグを読み終えた時、飯島さんが帰ってきた。

 キリのいい所だったので本を閉じ、彼女の方を見ると、走ってきたのか肩で息をしていた。

「おかえり。遅かったね」

「はぁ……。ただいま。ちょっと混んでてね。でも、買えたからよかったよ。はいこれ不知くんの分」

 差し出されたのは、カルピスという尊いCMで話題の清涼飲料だ。

 もしかして、僕の分も買ってくれたから遅れたのかな?

「ありがとう」

 僕はそれを受け取り、飲む。

 飯島さんから受け取ったカルピスはどこか優しい味がした。