「今日から入部します。山田華です」


 よろしくお願いします、と頭を下げて、上げたところで。


「……どうして鈴木先輩がいるんですか」


 放課後、チョコと共に新聞部の部室へやって来た。
 少し遅れてきたタカナシ先輩から入部届を受け取り、無事に一員となったはいいものの。
 先程から部室の奥に当然の如く居座る鈴木先輩に、私は苦言を呈さずにいられなかった。


「俺も今日から入部することにした」

「タイミングが最悪すぎるんですが」


 なぜだ。
 一年生なら分かる。しかし彼は二年生。どうして今更、と思うのは仕方がないだろう。


「ここには俺の恋人も、新・恋人もいるしな。俺が入らなきゃ始まらないだろ」

「始めなくていいんですよ!」


 ここにきて新聞の記事を引用しないで頂きたい。
 先輩二人が本当に恋仲にあるのかというのは、未だに謎だ。いやもう別にどっちでもいいけど。

 肩を落としていると、鈴木先輩が頭の後ろで手を組んで言う。


「照れんなって。家では俺のこと好きっていつも言ってるだろ?」

「言ってませんし、好きでもないです」