畳みかけるように言うと、チョコが慌てた様子で止めにかかる。
 私は思わず顔をしかめた。どうして。部員が増えるのは嬉しいことじゃないんだろうか。


「気持ちは嬉しいけど……部活存続のためだけに入ってもらうんだったら、了承できないよ。そこまでしてもらうのは、困る」

「困るって、何で?」


 恩返しなんて大層なものではないけれど、なんとなく彼女に借りを作ったままなのは気が引ける。
 チョコは珍しく、気まずそうに視線を左右に振った。


「本当に新聞部に興味があって入ってくれたんじゃないと、意味ないよ。私はおんなじ熱量の人と、活動したいから」


 そこまで言われて、ようやく気が付いた。私は無意識のうちに、彼女と彼女の大切なものを侮辱していたのだと。
 一ミリでも偽善めいた想いが見透かされたようで、途端に恥ずかしくなった。


「……ごめん」


 いつもおちゃらけている彼女にこんな顔をさせるくらい、私は的外れなことを言った。
 黙り込むと、目の前から明るい声色が飛んでくる。


「なんてねー! いやぁ、廃部寸前の奴が何を偉そうにっていう話なんだけども~」