新聞記事になった時点で噂のピークは終わったのか、クラスメートに話しかけられることが増えた。
 ともかく、「噂の新入生」というレッテルが剥がれ、ようやく一生徒としてスタートを切ったのだ。

 チョコは静かに私を見つめ、それから普段通りの笑みをたたえた。


「ん~? 何が?」


 へらへらとかわすのは、わざとなのかそれとも素なのか。彼女についてもなかなかに理解が難しい部分がある。


「ううん。あのさ」


 彼女に助けられたのは変えようのない事実だ。
 私は首を振って、以前の記憶を掘り起こしながら述べた。


「新聞部って、このままだと廃部になっちゃうかもしれないんだよね?」

「そうねえ。まあ三年生がいないから、来年も一応人数は変わらないけど。どっちみち廃部は免れなさそうかなあ」


 視線で宙をなぞりながら答える彼女に、私は意を決して声を張った。


「私、新聞部に入ってもいい?」

「え」

「一人増えたくらいじゃどうにもならないっていうなら、頑張って人集めるし……とりあえず、」

「ちょ、ちょっと待って」