結論から言うと、翌日の学校は非常に居心地が悪かった。

 なんせ、彼が私と同居していることをカミングアウトしてしまったのだ。
 噂――まあこれに至っては事実だけども――は瞬く間に広がり、それを聞きつけた過激派に詰め寄られること数分前。


「あんたが一太くんを誑かしてるっていう浮気相手ね!?」


 その日の授業が終わり廊下へ出た私の背後から、そんな声が掛かった。

 振り返ってみれば、五、六名の女子生徒がこちらを見つめたまま身を寄せ合っている。その表情は怯えているようにも、苛立っているようにも見えた。


「いや、違います」

「えっ? そうなの……?」


 毅然と首を振った私に、相手はたちまち威勢を失って腰を引いた。
 その様子にこっちが驚いたくらいだけれど、これ幸い、と利用させてもらうことにする。


「はい。人違いじゃないないですか?」

「い、言われてみればそうかも……?」


 それでいいのか、それで。
 あまりにも意思の弱すぎる敵陣に、半ば呆れてしまった。とにかく、相手が混乱しているうちに逃げよう。

 失礼します、と軽く頭を下げた時だった。


「って、ちょちょちょ! 騙されないわよ、童顔低身長Aカップといったら絶対にあなたしかいないわ!」

「勝手にバストサイズ決めつけるなァ――――――!」