確かに、まあ、もしかしたらそうなのかもしれないなとは思っていた。

 四月の一週目。いよいよ学校が始まる。
 鈴木さんは当たり前と言えば当たり前だけれど、高校生だ。それでも学ランを着て部屋から出てきた彼を見て、衝撃を受けてしまった。

 説得と習慣づけの成果が出たのか、彼はほぼ私と同時刻に起床するようになり、加えてジョギングにハマったらしい。毎朝家の近くを軽く走るのが彼のモーニングルーティンになった。

 彼が学校へ行くと言ったその日一日、私は一人で買い物へ行ったり、家の周辺を歩いて駅までの道を確認したりして過ごした。

 その翌日が入学式で、セーラー服を着た私とは対照的に、今度は彼が休みだった。登校してから知ったけれど、私の高校でも在校生はその日休みだったから、公立高校はどこもそうなのかもしれない。

 そう、だから、まさか。


「何でついてくるんですか」


 お弁当を作って朝食をとり、彼と揃って家を出たその日。
 隣で肩を並べる彼に、私は嫌な予感がしつつもそう投げかけた。


「何がだ」

「いや、鈴木さんの高校もこの電車使っていくんですか?」

「そうだな」