ぴしゃりと跳ねのけた私に、彼が口を尖らせる。……ガキか。いや、ガキだった。
ここまでとんとん拍子で進んでいた話に、ふと疑問が浮かんだ。
ただそれを聞いていいのか、悪いのか。聞かない方がいいとは思いながらも、やはり今後のためには聞かざるを得ない。
「鈴木さん。あの、……答えられる範囲で構わないんですけど」
「何だ?」
「……お金は、その、どうやって……」
一人暮らしというからには、親の仕送りに助けられている場合がほとんどだ。それにプラスしてアルバイトで生活費を稼いだり――ともかく、財源についての不透明さが私の不安を掻き立てていた。
彼が数秒口を噤む。やがてその唇が動いた。
「まあそんなに気にすることないぞ。その都度必要な金額さえ言ってもらえれば、俺が下ろしてくる」
……聞くなって、ことか。
少しの後悔が胸の奥を蝕む。やはり彼は、自分自身のことについて私に詳しく説明する気はないようだ。
私としても、これ以上は踏み込めないなと肌で感じた。
「りょーかいです。私からも提案いいですか?」