彼は家事がてんでだめ。となれば、必然的に私が担うことになるのは想像に易い。


「そうだ。となると、毎日冷蔵庫の中身を確認して献立を考えるのは? 誰だ?」

「私、ですね」

「そうだろ。だったら買い物に行って、使うものを使うだけ買うのも華の方がいいよな?」

「まあ、そうですけど……」


 あれ? もしかしなくてもこの人、めんどくさいだけでは?
 だって、食事をとるのも忘れたり、栄養ドリンクで済ませちゃうような人だ。食に関して無頓着すぎる。


「……分かりました。それに関しては私が責任持って行います。その代わり、」


 人様の財布を任されるんだ。鈴木さんがどれだけお金持ちなのか何なのかは知らないけれど、とりあえず節約に努めよう。
 今までも家事はやってきたから、世の中の主婦並みに金銭感覚は身についている。


「私が出したご飯は絶対にきちんと食べて下さい。朝昼晩、三食しっかりとって……それから、栄養ドリンクは禁止です」


 そんな堕落した食生活とはおさらばだ。今はまだ大丈夫かもしれないけれど、後でガタが来る。


「分かった。……提案なんだが」

「何でしょう?」

「野菜は少なめだと助かる」

「却下です」