やっぱり、慣れるまでにまだまだ時間はかかるし、力の加減を知らないこの人には手を焼きそうだ。

 でも、きっと。


「俺は世界一幸せな『兄ちゃん』だ」

「何ですか、急に」

「お前がさっき言ってただろーが」


 世界一幸せな――世界に一つだけの家族の形を、私たちはようやく見つけたのだと思う。


「華! 一太くんも! みんなで写真撮ろう!」


 母がはしゃぐように手招きする。
 慌てて頬を擦って、立ち上がった。そんな私の様子に、ぶっ、と隣から吹き出す音が聞こえる。


「お前……泣き顔ぶっさいくだなあ」

「はあ!? 雰囲気ぶち壊しなんですけど! 普通そういうこと言います!?」


 腹を抱えて笑い出した彼に、遠慮会釈なく噛みつく。
 おいおい、と尚也さんが窘めるように、呆れたように苦笑して、それから母もつられたように笑い声を上げた。


「何でお母さんまで笑うの!」

「華ぁ、せっかくおめかしして可愛かったのに~。ちっちゃい子みたいに泣いちゃって」

「ちょっと、尚也さんまで笑わないで……!」

「あははっ、ごめんごめん」


 もう、と頬を膨らませながら、自然と肩の荷が下りる。
 こうしてみんなが笑い合って、言い合って、喧嘩もして。そんな関係になっていければいい。

 はいチーズ、のその時まで。私たちは四人顔を見合わせて、ずっとずっと、笑っていた。