「初めまして。一太の父の、鈴木尚也です」
画面の向こう。柔和な笑みを浮かべる彼に、私はしゃんと背筋を伸ばした。
先輩とよく似た、二重のアーモンドアイ。その双眼がこちらを優しく見つめている。
「は、初めまして……山田華です」
「ははは。緊張してる?」
「はい……」
華ちゃんのことはお母さんからよく聞いてるよ。そう言って目を細めた彼は、唐突に頭を下げた。
「ごめん。華ちゃんには何も言わず、色々と話を進めてしまって。僕からも謝罪させて欲しい」
「えっ……そんな、大丈夫です! あのっ」
確かに母には「ちゃんと話して欲しかった」と怒鳴ってしまったし、実際本当にそう思っていたけれど。もう済んだことだし、気持ちの整理もついた。
こうして大人の人に謝られるのは慣れていなくて、どうしたら良いか分からずに焦ってしまう。
「父さん、もういいから。華が困ってる」
助け舟を出してくれたのは、隣に座る先輩だった。
その言葉にようやく尚也さんも顔を上げ、ほう、と胸を撫で下ろす。
夏休みに入って最初の日曜日。アメリカにいる母と先輩のお父さん、そして先輩と私。ビデオ通話ではあるものの、初めて四人で顔を合わせた。
「華、がっちがちねー。ほんと人見知りなのは昔っから変わらないんだから」