誤魔化し続けてきた煮え切らない俺の態度を、華は厳しく追及した。
 彼女の目に射抜かれた時、ひたすらに焦って気が動転した。


『ちょっと、すぐには決められないです。……確認したいことがあるので』


 俺と志乃さんと、三人で暮らせばいい。華がそう言った時、純粋に驚いた。
 それはきっと志乃さんも同じで、華の心境の変化を感じたのだろう。

 ただ俺は、どうしても一つ、確かめなければならなかった。

 華の発言は彼女のどういった感情から引き起こされたものなのか。単に俺に気を遣ってそう言っているだけなのか、それならまだしも――。


「は――何だ、華。まさかお前、俺のこと好きになったとか言うんじゃないだろうな?」


 何があっても、絶対に、それだけは間違えてはいけなかった。
 もし万が一、彼女が俺にそういった類の気持ちを持ってしまったら、この先どう転んでもおしまいだ。
 俺らは兄妹になるんだと事実を突きつけても。それをせず、離別することになっても。いずれにせよ、華を深く傷つけてしまう。


『えー、俺様キライ?』

『嫌い。無理。自意識過剰な人は論外』