蓋を開けてから、息を呑む。

 中に入っていたのは、私が毎日紙飛行機を折っては飛ばしていたメモだった。それが一枚ずつ全て折り目を広げられ、ただの紙となって箱にしまわれている。

 とっくに捨てられているものだと思っていた。ガキくさいと呆れられ、そこら辺にほっぽってあるのだとばかり。


「何で……」


 全部、ちゃんと読んでいたんだ、先輩は。

 一番最初に紙飛行機を折った日。覚えている。
 その日の夕飯はカレーだった。声を掛けても反応してくれなくて、メモに走り書きをして。そしてそれを、飛行機にした。


『にんじんたっぷり特製カレー、できました』


 幾重もメモが積み重ねられた箱の中の、一番下。一機目の飛行機を広げた中に書いた言葉。
 わざわざ広げて読んでいるとは思わなかった。読まれていないと思って、私は毎日好き勝手に綴っていたのに。


『いつもお弁当全部食べてくれて、ありがとうございます』

『今度映画を観る時は、寝ないように気をつけますね』