某バンドの楽曲の如く、天体観測といえば望遠鏡、そしてラジオだと主張する彼女。生憎私たちが今回探すのは、ほうき星ではなく流星群だけれど。まあ楽しそうなので何でもいい。
流星群のピークは大体二十時頃ということで、各々夜空を見上げながら駄弁っていた。
「佐藤、その菓子は何だ」
「知育菓子ですよう。水入れて混ぜるんです。鈴木先輩もやりますか?」
「ああ」
どうして手軽につまめるお菓子を持ってこなかったのだろう。そこはかとない疑問を抱いたけれど、当人たちが盛り上がっているので放っておくことにする。
ブランコに腰かけ、ゆらゆらと軽く揺蕩っていると、隣にタカナシ先輩がやって来た。
「タカナシ先輩はお寿司作らなくていいんですか?」
向こうで「ぎゃー」だの「いやー」だの騒ぎ立てている高校生二人――心は小学生だ――を横目に、私は問いかける。
数秒の沈黙の後、彼は口を開いた。
「時すでにお寿司」
「えッ」
「俺はいいよ。不器用だから」