「いやあ、何だかすみませんねえ。私まで誘ってもらっちゃってぇ」


 わざとらしく頭を掻きながら語尾を伸ばすチョコに、鈴木先輩は「構わん」と鷹揚だ。

 結論から述べると、テストは無事に乗り越えることができた。チョコは真面目な見た目に反して勉強はそこまで得意ではないらしく、かなり苦労していたけれど。
 鈴木先輩は相変わらず勉学に関しては抜かりなく、テスト期間も部屋にこもり切りだった。そのおかげで私も集中しやすい環境だったので、感謝はしている。

 終業式を目前に控えた今日、午後七時。学校から少しだけ離れた公園に、私たちは集まった。
 比較的軽装な先輩二人に対し、チョコは大きなリュックを背負っての登場だった。


「それ、何入ってるの?」

「へっへーん。よくぞ聞いてくれました!」


 大荷物の正体を尋ねると、彼女は得意げに鼻の下を擦る。両肩からベルトを下ろし、ベンチの上に中身を広げ始めた。


「まず望遠鏡でしょ。それからジュースとお菓子、懐中電灯にラジオ!」

「流星群って肉眼でも見えるよね」

「やっだあ! こういうのは雰囲気が大事なの!」