「なーに、そんな暗い顔して。さては鈴木先輩と喧嘩でもした?」
月曜日も変わらず、雨が降り続いていた。
チョコの指摘の通り、自分があまりいい顔をしていない自覚はある。しかしそれは天候のせいではない。
「あれ、図星? ……もしかして、聞いちゃいけない感じだった?」
黙ってクリームパンを齧った私に、彼女は頬を引きつらせた。
『……お前が本当に望むなら、俺はいくらだってそうする』
昨日は散々だった。
朝に先輩と言い合ってしまったから、昼も夜も空気は最悪で、もちろん今朝も最悪だ。かろうじて朝食は作ったけれど、お弁当を用意する気力はなかった。
「……別に。そういうわけじゃないよ」
「そう? 今度は何が原因で喧嘩したの」
喧嘩。これは喧嘩なんだろうか? そんな単純なものではない気がする。
むしろ私が一方的に言い募った形になってしまったし、いやでも、それは先輩が妙なことを言うからだ。
『ちょっと、すぐには決められないです。……確認したいことがあるので』
確認したいことって、何だろう。
そもそも先輩は、私と暮らすのが嫌なんだろうか。だから色々言ってきたとか?
「なんていうか……先輩が秘密主義すぎるっていうか」