二人をリビングに通しお茶を出したところで、タカナシ先輩が荷物から大きな箱を取り出す。
 私はそれをまじまじと見つめて、「ありがとうございます」と軽く頭を下げた。


「頼んだ手前申し訳ないんですけど、私あんまり機械は詳しくなくて……接続とか、どうすればいいんですかね」


 タカナシ先輩に頼んだもの、それはゲーム機だ。
 中高生なら一台は持っていそうなそれも、この家には見当たらない。というわけで、彼に少しだけ貸して欲しいとお願いしたのである。


「コード繋げるだけだからすぐだよ。ちょっと待って」


 どうやら先輩は起動まで面倒をみてくれるらしい。

 何だかんだ十五分ほどで諸々の設定が終わり、コントローラーの動作性を確認している時だった。


「……なんだ、来てたのか」


 背後でドアが開き、ようやく家の主がお出ましだ。
 呼ぶ手間が省けてこれ幸い。私は手招きしつつ彼を促した。


「先輩、こっち座って下さい。はい、これ持って」

「何だ?」

「ゲームです」


 問答無用でその手にコントローラーを握らせ、自分は立ち上がる。
 鈴木先輩はといえば、怪訝な顔をして渋々ソファに腰を下ろした。隣では既にタカナシ先輩が臨戦態勢である。


「一太、マルオカートでいい?」