*
「まだ仲直りしてないの~? 意地っ張りねぇ」
いつもの如く私のクラスにやって来たチョコが、言いつつ大袈裟に眉をひそめる。
別に、と呟いて、私はお弁当の蓋を開けた。
「喧嘩ってわけじゃないし。先輩が? 勝手に? 私のフィギュア持ち出したのが悪いんだし?」
「おー、これはかなり怒ってますなあ」
呑気な口調で相槌を打つ彼女は、すっかり他人事だ。
あげてしまったものは仕方ない。確かに鈴木先輩にはそう言ったけれど、だからといって許したわけではなかった。
だって、限定だったんだもん。レアだったんだもん。一言声を掛けてくれれば良かったのに、無断で持ち出すって。
「登下校は別々で、お弁当も作ってあげてない……可哀想だなあ鈴木先輩」
私の手元にあるお弁当箱をしげしげと見つめながら、チョコがぼやく。
何だ、チョコも先輩の肩を持つのか。どう考えたって悪いのは向こうなのに。
負けじと不満を隠さず、私は唇を尖らせた。
「二、三日放っておいたって死なないでしょ。ていうか、先輩全然気にしてないし」
あからさまに私が不機嫌そうな態度を取っても、無視しても。三日連続で夕飯がインスタントでも。
彼は全く堪えていなさそうだった。というか、通常運転だ。
「全然気にしてない、か……山田くん、この世は目に見えるものが全てではないのだよ」
「まだ仲直りしてないの~? 意地っ張りねぇ」
いつもの如く私のクラスにやって来たチョコが、言いつつ大袈裟に眉をひそめる。
別に、と呟いて、私はお弁当の蓋を開けた。
「喧嘩ってわけじゃないし。先輩が? 勝手に? 私のフィギュア持ち出したのが悪いんだし?」
「おー、これはかなり怒ってますなあ」
呑気な口調で相槌を打つ彼女は、すっかり他人事だ。
あげてしまったものは仕方ない。確かに鈴木先輩にはそう言ったけれど、だからといって許したわけではなかった。
だって、限定だったんだもん。レアだったんだもん。一言声を掛けてくれれば良かったのに、無断で持ち出すって。
「登下校は別々で、お弁当も作ってあげてない……可哀想だなあ鈴木先輩」
私の手元にあるお弁当箱をしげしげと見つめながら、チョコがぼやく。
何だ、チョコも先輩の肩を持つのか。どう考えたって悪いのは向こうなのに。
負けじと不満を隠さず、私は唇を尖らせた。
「二、三日放っておいたって死なないでしょ。ていうか、先輩全然気にしてないし」
あからさまに私が不機嫌そうな態度を取っても、無視しても。三日連続で夕飯がインスタントでも。
彼は全く堪えていなさそうだった。というか、通常運転だ。
「全然気にしてない、か……山田くん、この世は目に見えるものが全てではないのだよ」