絶対に許さない。
そんな強い意志を持って、私はいま食卓に座っていた。
「華」
無視だ。無視。
目の前で私を呼ぶ諸悪の根源に、返事なんてしてやるものかと気を引き締める。
「華、もう三分経ったぞ」
「え」
思わず顔を上げれば、鈴木先輩は我先にとカップ麺の蓋を剥がしていた。私も慌てて彼に倣う。
今日の夕飯は、お湯を注いで三分。何故にそこまで手抜きな事態になったのかというと。
「華、悪かった」
端的に謝罪した彼の頬を、湯気が撫でていく。
「そんなに大事なものとは知らずに――お、うまいな納豆味」
反省する気ゼロだ、こいつ。言葉の途中で麺を啜り始めた彼に、深々とため息をついた。
大体、納豆味ってなんだ。スーパーでかごに入れてきた時から思ってはいたけれど。
今日は絶対、ご飯なんて作ってやるものか。そう固く決意したのは、つい先程のことだった。
『あれ?』
キッチンカウンターを隅から隅まで見渡して、首を捻る。昨日ひっそり飾っておいたはずのフィギュアがない。
コンビニと吉木興業のコラボイベント。五百円買い物するごとにくじを引けて、私は運がいいことに景品が当たったのだ。
『おめでとうございまーす!』