聞き間違いだろうか、彼は今『世話になる』といったのか?


「…と言いますと?」


「その言葉の通りじゃ、しばらくこの家に住まわせてもらうぞ」


ええ…

ダメだ、急な展開すぎて頭が追いつかない。


でも、このままでは厄介なことになることは間違いないので、どうにかして他の所へ行ってもらおうと試みた。


「あの〜、大変申し訳ないのですが、この家に住むのはちょっと」


彼は僕をギロリと睨んだ。


「何?お主はワシをこの家に住まわせられないと申すのか?」


「ええと…はい」

僕がそう言うと、彼はニヤリと意地の悪そうな笑みを浮かべて言った。


「ほう、では聞くが、ワシは()()()()()()()()()()()()()()()()()、お主はワシを受け入れられないと、そう申すのか?」


彼の言っていることが最初はよく分からなかったが、やがて気がついた。

まさか…


「もしかして信長様、既にそちらの時代にタイムリープして来た人がいるのですか?」


「ああ、それも何人もな。」

「…左様ですか」

マジか。


このままではヤバイ、と思っていると彼が止めを刺して来た。

「もう一度聞くぞ。ワシはこれまでタイムリープして来た者どもを受け入れて、もてなしてやったのに、お前はワシを受け入れないと申すのか?」


返す言葉が見つからない。

そう言われてしまったら受け入れざるをえないじゃないか、現代人代表として。


「…我が家へようこそ」


「うむ、しばらくの間よろしく頼む」




こうして、僕と織田信長の奇妙な同居生活が始まった。