「さて、色島望について調べるか」





「そうですね。まず、交遊関係と自宅近辺での聞き込みからしますか」






「え?」






「「え?」」






一颯と汐里の言葉に驚いた瀬戸に対して、二人は瀬戸の反応に驚いたらしい。






「色島望について調べるんですか?」






「もちろん」






「彼女、シロじゃないんですか?」






「色島望は限りなくクロに近いグレーだ。というよりはあの会社自体グレーだな」







助手席の一颯は持っていた鞄から捜査資料を取り出して、何枚かめくった。
そのページには先ほど行った会社のことが書かれてあった。
瀬戸も目を通してはいたが、特に怪しいところは無かったように思える。





「表向きは医療関係の製薬会社を名乗ってるみたいだが、裏では麻薬を作ってる。《グリースペルディア》って知らないか?」






「二年前に出回った粗悪なドラッグですよね?それくらい知ってます」






「それを作ってたのが此処だ。まあ、確かな証拠がないから二年経った今でも摘発できずに、粗悪なドラッグが出回ってるんだけどな」







「それを取り締まるのはうちじゃない。マトリや組対に任せとけば良い。うちが関係してくるのは今回の殺人事件とその会社のバッグにいる組織だ」






汐里は一颯の説明に補足するように、そう付け加える。





「バッグにいる組織……?つまり……」






「《七つの大罪》だ」






犯罪を誘発させる行動が多く見られるカルト組織、七つの大罪。
それを仕切るのは神室志童という男で、一颯と汐里は二年経った今でも探し続けている。
奴に一颯と汐里は大切なものを奪われた。
その罪を償わせる為に探し続けていた。






「《七つの大罪》は公安の管轄では?」






瀬戸の言うとおり七つの大罪は国家を脅かす可能のある犯罪組織のため、公安の管轄になるはすだ。
だが、一颯はともかく汐里にはそんなことは知ったことでない。
手柄を横からかっさらわれる時があるというのに、何故遠慮する必要がある?
それが汐里の言い分だが、少しは遠慮することを覚えてほしいと思うのは相棒である一颯だ。