中原の北半分を百五十年にわたって治めた()国は、南から招いた異能の三家(さんけ)を従えていた。
裁定者たる(こう)家。
守護者たる(りゅう)家。
執行者たる(とう)家。
この宇国を滅ぼしたのち、(こう)国を建てた高祖は、最後まで矛を収めなかった三家の一族を、九族に至るまで殺した。
一方で異能の者たちの呪いを恐れ、わずかな子孫を残し、彼らに父祖(ふそ)の霊を慰めるよう命じたのである。
それから――二百年。
私は、裁定者たる江家の末裔として生を受けた。
――三家に課された『罪』と『則』を背負うために。