罪悪感はなかった。若さを切り売りする貴重な職業とさえ思った。未来への投資と思えば体を売ることは善だった。ただ、コトを終えてベッドから降り、下着を身につけるときになると母の姿が脳裏をかすめた。荒れた指先で錆びた縫い針を持ち、背中を丸めて穴の空いた下着を繕う見窄らしい母の姿が。何故にそんな姿を思い出すのか自分でも分からなかった。
あんな惨めなひと……。
いや。あんなふうにはなりたくない。働いても働いても貧乏な大人にはなるもんか。人並みの生活をしたい。ただ、それだけ。大学さえ卒業すれば。きちんと学歴とスキルを身に着ければ。
勉強する時間もできで、成績は再び上位ひと桁に食い込むところまで回復していた。通帳の残高も150万円を超えた。これで大学に行ける、そう確信した。
あんな惨めなひと……。
いや。あんなふうにはなりたくない。働いても働いても貧乏な大人にはなるもんか。人並みの生活をしたい。ただ、それだけ。大学さえ卒業すれば。きちんと学歴とスキルを身に着ければ。
勉強する時間もできで、成績は再び上位ひと桁に食い込むところまで回復していた。通帳の残高も150万円を超えた。これで大学に行ける、そう確信した。