中学に上がるころにはそんな自分の生活を分析するようになった。こんな惨めな思いをするのはなぜか。両親が中卒だからだ。中学生になるとそんなことを認識できるようになった。母親も年収は200万に乗るかどうか、ワーキングプアに近い状況だった。

だから私は必ず大学を卒業する、そして手に職をつける。それが貧乏から抜け出す切り札だと考えた私は、部活動にも入らず、家ではテレビも見ずにひらすら勉強をした。塾にもいってなかったが、学年順位で一桁をキープしていた。いい成績を取ることで、汚いとののしったクラスメートを見返してやった。高校は公立の中でもトップクラスのところに入学できた。成績優秀者にのみに支給される返済免除の奨学金も受けることができた。制服や学校指定のカバン、自転車などは佳苗からのおさがりだ。クラスメートの真新しい服も靴もカバンもうらやましかった。でも毎日くたくたになるまで働いてくる母親に面と向かって愚痴をこぼすことはできなかった。心の中で親をののしりながらも。

頭が悪いから、高校も卒業できなくて大人になってから苦労している。百歩譲って頭が悪いのは遺伝で仕方のないことかもしれない。でもそれに甘んじて学校の勉強をきちんとやってこなかった。頑張ってモノを覚えようとしなかった。その努力が欠如していたからこそ貧乏なのだ。私はそんな大人になるもんか。