*-*-*


翌日から劇の練習は始まった。朝、昼休みと放課後をつかって行われる。小学生の小学校内にいるあいだの自由時間のすべてといっていい。時間にすれば日に1時間半弱だけれど、小学生のぼくにしたら、スーパーウルトラハードなことだった。いままでの人生でこんなに時間を奪われたことはなかった。大好きな読書もお絵かきも全くと言っていいほどできなくなっていた。ぼくの自由をすべて奪っているといっても過言ではない。

主な配役を説明しておくと、ちびでのろまで貧乏な家の子という主人公がぼく、そんな主人公を優しく指導してくれる監督が俊平、主人公の母親がモモネ、足手まといのぼくを笑って邪魔者扱いするチームメートたちがモモネ以外のモモネ軍団と俊平以外の俊平軍団、ナレーションが英美だ。

いつもより1時間も早起きして登校した教室はキーンと冷えていて、机に触ると指先から伝わる衝撃波で一瞬で全身が氷になってしまいそうだった。