帰りの会のあと、ランドセルをしょった俊平くんが、ぼくの前にきて、帰ろうとしたぼくの前に立ちはだかった。


「面白くなかった、これ」
「あ……うん」
「お前さ、先週の朝の会で、面白かったっていったじゃん」
「う、うん……」
「全然、つまんなかったし」
「……」


ぼくは言葉に詰まってしまった。正直なところぼくはこの本を心底おもしろいと思ったわけじゃなかった。でも朝の会のお話当番がまわってきて、ぼくは何かを発表しなくちゃいけなかった。スポーツをやっているひとはそのスポーツの話をしたり、お菓子作りが得意な女子は週末にどんなクッキーを作ったかと話したり、内容はひとそれぞれだ担任の久美子先生だって、なんでもいいんだよ、と言っているし。