「あそこです!京達が行くって言っていた喫茶店!」
その頃、赤星は椎名や他の捜査員と共に一颯と汐里の捜索を行っていた。
汐里が彼に言い残した『半日戻らなかったら怪しめ』という言葉。
半日は経っていないが、二時間経った現在一颯と汐里の行方が分かっていない。
二時間程で捜索に踏み出したのには理由がある。
「此処で京のGPSが途切れてる……。って、何故あいつらがいる」
汐里のスマートフォンのGPSが今赤星達がいる喫茶店で途切れている。
見たところ、何にも怪しくはない喫茶店。
だが、何故か入り口のところに公安の氷室と重原、その他の捜査員がいたことにより、怪しいことが明確になる。
椎名が心底嫌そうな顔しているのを分かりつつも、赤星は氷室達の方へ向かう。
「赤星?何故此処に?」
「それはこっちの台詞だ。何で公安が此処にいる?」
「此処が《七つの大罪》の拠点の一つだということが分かった。捜一こそ、何故此処に?」
「うちの姫とお坊ちゃんの消息が此処で途切れた。何でも、ペルソナについて垂れ込みをしてきた男に会うとかで此処に来てた」
「垂れ込み?情報提供者の名前は?」
「神室志童、と言っていた」
赤星は食いついてきた氷室を鬱陶しく思いつつもある意味利害が一致しているので、汐里が此処にきた目的を話す。
が、赤星が情報提供者の名前を口にしたところで、公安の捜査員達がざわめく。
氷室も珍しく驚きを隠せていないようだった。
「汐里は本当にそいつと接触したのか?」
「うちの姫を呼び捨てすんな、未練タラタラ男が。つか、お坊ちゃんの心配はしねぇのか」
「椎名さん、柄悪くなってます」
氷室にメンチを切っている椎名さんを赤星が宥める。
元ヤンのライバルだった重原もそのメンチに答えるかのような顔をするが、氷室に止められた。
「神室志童、奴は《七つの大罪》の教祖と言われる男だ。そちらの捜一課長はそれを知っているはすだが?何せ、神室志童は京太志を殺した男だからな」
赤星や椎名、捜一の捜査員はその事実を知らなかった。
京太志の殉職時の捜査資料には殺害した男のことは連続殺人犯としか書かれておらず、名前は記されていなかった。
知っているのは当時事件を追っていた太志とその相棒の司馬だけ。
何故、司馬は話さなかったのか……。
赤星達に疑念が浮かぶ。