2、
竜騎士。
世界でも30名ほどしかいない希少ジョブ。
人間に懐かない誇り高き聖獣・ドラゴンを、手綱も付けずに乗りこなすことができ、クエストでは主に、偵察行動、大規模な魔物討伐での空中からの指揮支援、空を飛ぶ魔物の討伐を担っていた。
そして今、休憩終わりのエマにちょうど順番が回ってきた男は、その竜騎士の中でも最高位の騎士団長に最年少で就任した、“旋風”こと、アベル・ワールウインドその人だった。
「では、プロフィール拝見しますね」
――――――――――――――
名前 /アベル・ワールウインド
年齢 /30歳
ランク/SSS
ジョブ/竜騎士(LV97)
装備 /雷帝の槍(雷属性・局地的に天候を操ることができる)
etc…
――――――――――――――
「どのような職業への転職をご希望ですか?」と口にしつつ、エマは訝しんだ。
竜騎士団は、その希少性と高速で移動できる能力を買われて、団員全てが運送業に転職をしたと聞いていた。しかも、騎士団長は、全ての騎士の指揮および教育を担当しているはずなのだ。だが、なぜかアベルだけ竜騎士を続けており、今日ここに訪れている。
「特に、希望はないのだが、ドラゴンを連れていける職業を探している」
(希望がないというのが最も困るんだけど・・・そして、ドラゴンを連れていける職場ってどんなのよ!?) とエマは心の中で叫んだ。そして、少し迷ったがドラゴンと一緒に働きたいのならやはりこれしかないと思い、運送業を勧めることにした。
「それでしたら、運送のお仕事はいかがですか?」
すると、アベルの表情が一瞬で曇り、明らかに不機嫌な口調で「伝書鳩と同じことを、竜騎士にやれというのか!?」とエマをにらみつけた。
「でも、竜騎士の方なら、ぴったりかと…」
「却下だ!他にないのか!?」
アベルのあまりの剣幕にエマは気押され、これ以上は勧めることができなくなった。
「それでは・・・えーと」と、エマは求人書類をめくりながら、猛スピードで頭を回転させた。
(空が飛べて、ドラゴンが懐いていて、団長さんで、運送業以外で、ドラゴンが連れていける、ていうことは広い庭があるってこと? だとすると、えーと…)
すると突然、「そうだ!」とエマは手を叩いた
「何かあったか?」
「団長さんに、ピッタリのお仕事があります!」
===
「え? それ、大丈夫なの?」
アベルが帰ったあと、やりとりの一部始終を聞いてアンナは心配そうに言った。エマはまたテルテル坊主を作っている。
「ダイジョーブ、ダイジョーブ!」
「騎士団長さんも、よくオーケーしたね?」
「ああ。だって何の仕事か、まだ教えてないし」
「え?」
「住所は教えたけど、何の仕事かは“明日までのお楽しみ”ってことで、今日は帰ってもらったのよ」サラリと凄いことを言って、テルテル坊主の首をリボンでしばっているエマを見て、アンナはますます不安になった。
「本当にダイジョーブだって。 知り合いが働いているから、私も職場体験には付き添うつもりだし・・・できた!」と、テルテル坊主を。
「明日は晴れますように!」
竜騎士。
世界でも30名ほどしかいない希少ジョブ。
人間に懐かない誇り高き聖獣・ドラゴンを、手綱も付けずに乗りこなすことができ、クエストでは主に、偵察行動、大規模な魔物討伐での空中からの指揮支援、空を飛ぶ魔物の討伐を担っていた。
そして今、休憩終わりのエマにちょうど順番が回ってきた男は、その竜騎士の中でも最高位の騎士団長に最年少で就任した、“旋風”こと、アベル・ワールウインドその人だった。
「では、プロフィール拝見しますね」
――――――――――――――
名前 /アベル・ワールウインド
年齢 /30歳
ランク/SSS
ジョブ/竜騎士(LV97)
装備 /雷帝の槍(雷属性・局地的に天候を操ることができる)
etc…
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「どのような職業への転職をご希望ですか?」と口にしつつ、エマは訝しんだ。
竜騎士団は、その希少性と高速で移動できる能力を買われて、団員全てが運送業に転職をしたと聞いていた。しかも、騎士団長は、全ての騎士の指揮および教育を担当しているはずなのだ。だが、なぜかアベルだけ竜騎士を続けており、今日ここに訪れている。
「特に、希望はないのだが、ドラゴンを連れていける職業を探している」
(希望がないというのが最も困るんだけど・・・そして、ドラゴンを連れていける職場ってどんなのよ!?) とエマは心の中で叫んだ。そして、少し迷ったがドラゴンと一緒に働きたいのならやはりこれしかないと思い、運送業を勧めることにした。
「それでしたら、運送のお仕事はいかがですか?」
すると、アベルの表情が一瞬で曇り、明らかに不機嫌な口調で「伝書鳩と同じことを、竜騎士にやれというのか!?」とエマをにらみつけた。
「でも、竜騎士の方なら、ぴったりかと…」
「却下だ!他にないのか!?」
アベルのあまりの剣幕にエマは気押され、これ以上は勧めることができなくなった。
「それでは・・・えーと」と、エマは求人書類をめくりながら、猛スピードで頭を回転させた。
(空が飛べて、ドラゴンが懐いていて、団長さんで、運送業以外で、ドラゴンが連れていける、ていうことは広い庭があるってこと? だとすると、えーと…)
すると突然、「そうだ!」とエマは手を叩いた
「何かあったか?」
「団長さんに、ピッタリのお仕事があります!」
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「え? それ、大丈夫なの?」
アベルが帰ったあと、やりとりの一部始終を聞いてアンナは心配そうに言った。エマはまたテルテル坊主を作っている。
「ダイジョーブ、ダイジョーブ!」
「騎士団長さんも、よくオーケーしたね?」
「ああ。だって何の仕事か、まだ教えてないし」
「え?」
「住所は教えたけど、何の仕事かは“明日までのお楽しみ”ってことで、今日は帰ってもらったのよ」サラリと凄いことを言って、テルテル坊主の首をリボンでしばっているエマを見て、アンナはますます不安になった。
「本当にダイジョーブだって。 知り合いが働いているから、私も職場体験には付き添うつもりだし・・・できた!」と、テルテル坊主を。
「明日は晴れますように!」