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「チョーク爺さん、最近、アンタのところの野菜が凄くおいしいって評判になっていてね。何か作り方変えたのかい?」と商人は上機嫌で言った。
「最近、土の調子がだいぶ良くてね。それにしても、喜んでもらえて良かった」そう答えるチョークの横では、農家のバルカン・ハミルカルが野菜の入った木箱をてきぱきと運んでいる。
「新しく人も雇ったようだけど、もっと作付けを増やす予定はないのかい?」
「ちょうど畑を広げようと思っててね」とチョークがバルカンを指さして「昨日から、あいつが雑木を蹴り倒してるよ」と言った。
商人は、“切り倒す”の言い間違いと思ったが、それはそのままにしておいた。

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「買値を上げさせてもらったからさ、これからもウチだけに売ってくれよ」と言って、商人は代金をチョークに渡して、馬車で帰っていった。
それを見送るバルカンとチョークは、とても幸せな気持ちだった。農家として、それを食べる人が喜んでくれるほど嬉しいことはない。
商人の姿が見えなくなると、「じゃあ、もう一仕事するかの」とチョークが言った。
バルカンは、辮髪のねじり鉢巻きを被りなおし「チョークさん、では私はあちらの畑を耕しておきますね」と言って、長い柄の付いた鍬を肩にかけて畑に向かって歩き出した。
その鍬の柄の先には、30cmほどの刃が6本ついていて、聖なる輝きを放っていた。

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現在のステータス
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名前 /バルカン・ハミルカル
ランク/C
ジョブ/農家(LV 1)
装備 /破邪の爪 (聖属性・アンデッド特効・鍬として使用するとおいしい野菜が育つ良い土が出来る)
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(第1話完)