「うーん。直接会ったことがないからなんとも言えないけど、これまでの陽茉莉ちゃんの話を聞く限りはね」

 潤ちゃんはパチンと器用にウインクをした。

「多分、その猫な彼は陽茉莉ちゃんのことが可愛いのね。そうじゃなきゃ、そんなに熱心に指導しないわ。結構、普段から陽茉莉ちゃんのことを気にかけて見てくれているんだと思うわよ」
「そうかなあ?」

 部下として可愛いと思っているかどうかはわからないが、指導が熱心なのは間違いない。
 そして、それが陽茉莉の社会人としての成長に繋がっていることも確かだった。

(相澤係長の部下、思ったほど悪くないかも)

 半分ほどに減ったグラスを傾ける。
 またお客様に喜んでもらえるように、明日からも頑張ろうと思った。