「いっつも口うるさいなあって思ってたけど、いざお客様から『こんなのが欲しかった』って褒められると嬉しいね。頑張ってよかったって思った」
「口うるさいって言うと、今回の件でアドバイスしてくれたのは猫な彼かしら?」
「うん、そう。猫かぶりな彼」

 そう言いながら、陽茉莉はぷっと吹き出す。
 本当は、猫じゃなくって狼だけどね。

 潤ちゃんはサービスのローストナッツを陽茉莉の前にトンと置く。

「いっつも厳しめみたいだけど、陽茉莉ちゃんがそれでちゃんと成長してるんだから結構いい上司だと思うわよ。話を聞いた限りだけど」
「そう思う?」

 陽茉莉は潤ちゃんのほうを見る。