陽茉莉は、昨晩、夜出かけたいと相澤に告げたときのことを思い返す。相澤は陽茉莉が夜出かけたいというと、少し困惑した表情を浮かべた。
「わかった。けど、あんまり遅くなるなよ。……危ないから」
「はい、わかりました。係長と住み始めてから、本当にあのお化けに襲われなくなりましたから大丈夫です。ありがとうございます!」
陽茉莉がにこりと笑うと、相澤は眉根を寄せる。
そのとき、何かを言いたげなように見えたのだが、結局は何も言われなかったのでわからずじまいだ。
「機嫌がいいのは、生活環境が変わったせい?」
「機嫌がいい?」
「ええ。とってもよさそうに見えるわ」