相澤の話は要するに、営業提案をするからには相手の目線になって何を求められているかを把握し、それに応えられるだけの引き出しを用意しておけということのようだ。

 確かに、相手だって暇ではないのだから、全く必要のないもののためにわざわざ時間を割こうとは思わないはずだ。つまり、上手く彼らの琴線に触れることさえできれば、興味を持ってもらえる可能性が一気に高まるのだ。

「もう一度、あちらに連絡をとって話を聞いてみます」

 幸いにして、先方の担当の山田さんはとても人当たりのよい女性だった。連絡すれば、何かしらのヒントは得られるかもしれない。

「そうだな。もう一捻りしてみて」

 相澤はいつものようににこりと微笑むと、陽茉莉に赤字の入った提案書を容赦なく差し戻したのだった。